琵琶湖文化館 the Museum Of Shiga Pref
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収蔵品

県指定文化財  信楽矢筈口水指(しがらきやはずぐちみずさし)  1口   桃山時代  本館蔵   
 信楽焼の歴史は古く、1000年以上にもわたり生産を続けてきた、まさにわが国を代表するやきものである。中世から現在まで生産を続けている瀬戸・常滑・越前・信楽・丹波立杭・備前といった窯は、わが国を代表する窯として位置づけられ、とくに日本六古窯と称されている。
 水指というのは、茶道において茶碗をすすぐための水や釜に足す水を入れておく道具で、その材質としては、金属、陶器、磁器、塗物などがあるが、とくに、茶の湯では信楽焼の水指が高い評価を受けていた。名称にある「矢筈口」というのは、凹型にへこんでいる口のことで、弓道で使用する矢において弓の弦を引っかける部分である矢筈に似ている形であることから、その名が付いたという。口縁は幅広く、胴は基本的には円柱状の寸胴な形だが、四ヶ所に深さや大きさもまちまちなおおきなくぼみがあり、ぐるっと周囲から眺めると色々な姿を楽しむことができる。角度によっては全体が歪んだように見えることもある。胴には上から四分の一ほどの高さに一本の筋が入っており、これが全体の雰囲気を引き締めている。
 この水指は昭和29年(1954)に信楽町の個人から壺やすり鉢などとともに寄贈され、甲賀郡多羅尾村字古谷(現甲賀市)の古井戸で発見されたものであると伝わっている。信楽焼の茶陶として有名なものに、千利休が所持していたと言われる「一重口水指 銘柴庵」(東京国立博物館所蔵:重要文化財)があるが、「紫庵」の持つ重厚感とはまた異なる趣きがあり、滋賀県に残る古信楽を代表する作品の一つである。