琵琶湖文化館 the Museum Of Shiga Pref
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近江の文化財

絹本著色 五老図  紀楳亭 筆   1幅 江戸時代 文化3年(1806)
(けんぽんちゃくしょく ごろうず きばいてい ひつ) 本館蔵 法量  縦 43.0 × 横 73.5cm

 

 作者の紀楳亭(き ばいてい)は、享保19年(1734)、京都の南郊・鳥羽に生まれ、初め岩城藍田(らんでん)のもとで画の修行をしますが、後に与謝蕪村(よさ ぶそん)に弟子入りをします。当時蕪村は、俳諧の世界で芭蕉以後最も有名な存在で、楳亭は、同門となった松村呉春とともに、画・俳句の両道に精進し、蕪村門下の双璧と言われました。特に楳亭は蕪村に最も近い画風を示し、時に蕪村の絵と混同されるほど似ており、蕪村画の忠実な継承者でありました。蕪村の死後、天明8年(1788)の大火に見舞われた折り、難を逃れるため身を寄せたのが大津です。50歳を超えるころの作品には「湖南九老」と署名されていることが多いですが、湖南は文字通り大津を中心とする琵琶湖の南部のことで、九老は通称を立花屋九兵衛と言っていたことによります。

 「五老図」は、楳亭が最も得意とした画題で、不老長寿の蓬莱山に集う五人の仙人たちが酒を飲みながら談笑する様子を描いています。白い鬚をたくわえた仙人たちが、喜々とした表情を見せているのは、その角張った口の形にあるようで、楳亭画の特徴の一つです。山肌の刷毛描き風な粗い表現や、人物の口鬚のあらわし方など、楳亭画の一典型を示しています。

 

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 こちらの「大津絵図」は、鬼念仏と藤娘を二曲屏風に貼り付けたもので、両方とも大津絵の人気作品ですが、楳亭の描くものはいずれも横向き姿が特徴で、鬼念仏は、笠を背にかつぎ、撞木を振り上げて歩く鬼をユーモラスにとらえ、藤娘は、首をひねって振り返るように描かれており、まさに見返り美人の構図を見せるところがおもしろいです。