琵琶湖文化館 the Museum Of Shiga Pref
  • サイト内検索
見本
  1. ホーム
  2.  > 近江の文化財
  3.  >> 収蔵品紹介
  4.  >>> 書跡・典籍・古文書
  5.  >>>> 籠手田安定 書跡 「山中幸盛」

近江の文化財

 籠手田安定 書跡 「山中幸盛」 1幅 明治20年(1887)  本館蔵

     

〔法量 縦 27.7 × 横 59.0 cm〕

 籠手田安定(こてだ やすさだ・1840~99)は、平戸藩家臣・桑田長親の長男として平戸に生まれ、幕末に京都で国事に携わりました。明治に入り、籠手田に復姓し、大津県判事に任用されました。その後、明治11年(1878)には第2代滋賀県令(現在の知事)となりました。籠手田は大津師範学校の設立など教育に大きく貢献し、特に英語教育を重視しました。明治18年(1885)には島根県知事に着任しますが、その際にラフカディオ・ハーン(小泉八雲)を英語教師として任用しました。

 この作品は、籠手田が明治20年(1887)12月19日、山陰の戦国武将として有名な山中幸盛こと山中鹿之助の「七難八苦」の逸話を書いたものです。三日月に七法の難、八つの苦しみを願い、主君・尼子氏の再興を果たそうとする心こそ武勇(雄)の鑑(かがみ)であると称えています。明治20年は島根県知事時代であり、地元の英雄である山中鹿之助と自身の苦難を重ねて書いたものでしょう。

 なお、付属の目録には、安貞の子息である龍(1876~1934)が所蔵していたこの書を、御上神社宮司であった笠川隼之助に寄贈した旨が記されています。

( 寺前 公基 )

     

 

NHK連続テレビ小説「ばけばけ」に登場する島根県知事の江藤安宗(演・佐野史郎さん)のモデルは、籠手田安定なのだとか。滋賀県ゆかりの人物として要チェック!ですね。