
中神コレクションは、草津市出身の医師で郷土史家でもあった故・中神良太氏(なかがみりょうた・1917~1993)が収集した書画や版画などの膨大な資料群です。草津出身の画人・横井金谷(よこいきんこく)らによる書画や草津市域などを描いた貴重な浮世絵版画が多いことで知られ、その一部は平成6年に草津市へ寄贈されて草津宿街道交流館などで活用されています。
このたび、中神良太氏の遺品の中から従来知られていなかったコレクションの一部が新たに発見され、草津市域以外の近江にゆかりの深い作者やテーマに関わる作品も多く含まれていたため、ご遺族の御好意により滋賀県と草津市とに分けて寄贈されました(令和7年12月17日)。
本県ゆかりの貴重な作品群であり、滋賀県では今後、新しい琵琶湖文化館での展示公開等に活用してまいります。
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「如意画賛」 東嶺円慈(とうれいえんじ)筆 江戸時代に現在の東近江市に生まれ、近世臨済宗の名僧として知られる東嶺円慈(1721~1792)が僧の持ち物である「如意」の図を描き、余白にみずから賛(解説文)を書き添えたもの。 |
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「白雨一過図」 杉本哲郎(すぎもとてつろう)筆 杉本哲郎(1899~1985)は大津市出身で山元春挙に学び、長浜にもゆかりがある日本画家。琵琶湖文化館の大壁画「舎利供養」の作者としても知られる。本品は独立前のインドの風俗に取材した親しみやすい作品。 |
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「熊沢蕃山肖像」 木畑坦斎(きばたたんさい)賛、胤彦(たねひこ)画 近江聖人として知られる中江藤樹の陽明学を学んだ門弟の中で、最もよく知られる熊澤蕃山(1619~1691)の肖像画。蕃山の肖像には数系統のものがあるが、本品はこれまであまり知られていない珍しいもの。 |
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扁額「生々堂」 野添平米(のぞえへいべい)筆 草津市出身で帝展、新文展などで活躍した日本画家・野添平米(1895~1980)が墨書した扁額。「生々堂(せいせいどう)」は代々医家を継いだ中神家の堂号で、平米は親交厚かった中神良太のためにこの書を贈った。 |
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版画(近代) 「三井寺より湖水を望む」/左 「濱大津夕景」/右 徳力富吉郎(とくりきとみきちろう)作 京都出身の版画家・徳力富吉郎(1902~2000)の作品で、新しい琵琶湖文化館の建設地でもある大津市浜大津を望む遠景(左)と近景(右)を描く。描かれた景観は戦前期のものと考えられ、モダンな情趣を感じさせる。 |











